実際に高齢者のデイサービスで生活相談員の経験がある著者が、実際の仕事内容や給料などをご紹介します。
私が働いていたデイサービスは、デイサービスと認知症対応型デイサービスが併設されているところでした。
定員は合わせて40名ほど。生活相談員は4人体制。
相談員は全員、「生活相談員兼介護職員」として勤務していました。
生活相談員の仕事内容について知りたい方はこちらをご覧ください。
デイサービスの生活相談員 やりがい5選
デイサービスの生活相談員の仕事はとても大変だった分、沢山のやりがいがありました。
順番にご紹介します。
やりがい①ケアマネジャー以上にお客様と接することができる
業務内容でも紹介したように、お客様とかかわる時間が長いことがやりがいの一つです。
・どんな服を好み
・どんな方と何のお話をされていて
・交流の中でどんな表情をされるのか
こうした気づきを積み重ねることによって、その方のことを深く知ることができます。
さらに、この気づきや変化をケアマネジャーやご家族へ伝えることによって、ケアマネジメントの一端を担うことができると考えます。
やりがい②地域福祉に関われる
例えば
・デイサービスに地域のボランティアさんをお呼びする
・デイサービスのお客様と地域の小学生との交流の時間を設ける
・地域の中学生にデイサービスで職業体験をしてもらう
このような取り組みに挑戦することでデイサービスの中だけで完結するのではなく、地域と連携したデイサービスにしていくことができます。
デイサービスにはたくさんの可能性があるのです!
やりがい③在宅ケアの知識が深まる
デイサービスをご利用のお客様の生活の基盤はご自宅であり「地域」です。
・デイサービス利用時以外はご自宅でどのような生活を送っているのか。
・ご自宅で自分らしく安全に暮らすためにはデイサービスでどんなことができるのか。
そのような考え方を持つことによって、在宅ケアへの関心が深まっていきます。
「お客様が地域で安心して暮らす」ことが真ん中にあるとすると、
その周りを取り囲む一つとしてデイサービスがあるのです。
生活相談員はお客様一人ひとりの「通所介護計画書」を作成します。
その際、デイサービスの中だけの目標で終わってしまうのではなく、お客様が地域で安心して暮らすためにデイサービスで何をする必要があるのかについて考える視点が大切です。
やりがい④病気や薬についての知識が深まる
歳を重ねた方々は何らかの持病を持っている方が多いです。
そうした方々の日中の生活を支えるデイサービスでは、病気や薬の知識が必須です。
持病についての理解がないままでは、危険な兆候に気付けなかったり、お客様に無理をさせてしまったりする危険性があるからです。
私も初めは分からないことだらけでしたが、その都度看護師さんに聞いたり自分で本を読んだりして知識をつけていきました。
今となっては貴重な経験でした。
病気や薬の知識は、現在の相談援助の仕事においてもとても役立っています。
やりがい⑤マネジメントの力がつく
生活相談員の仕事は一人では成り立ちません。
一緒に仕事をする介護職員や看護師などと連携をすることによって成り立ちます。
そうした多職種の中で生活相談員は全体の調整役です。
それぞれの職種の役割や職員一人ひとりのことをよく知って、調整をしていく必要があります。
職員一人一人の話をよく聞いて、時には指示を出して、デイサービスがうまく機能するように調整します。
そんな業務の中で悩むことも多いですが、マネジメントの能力を鍛えることができたと思っています。
私はこの本を読んで、介護現場でのリーダーシップの取り方について学びました。
本の題名は「介護リーダー」のしごと と書いてありますが、生活相談員にとって役立つ具体的な声のかけ方や調整の仕方が満載で、とても助けられました。
デイサービスの生活相談員 大変なこと5選
大変なこと①責任が大きい
デイサービスではお客様の命をお預かりします。
人の命を預かる仕事ということで、当然責任は大きくなります。
お客様が利用中に急変したり、転倒などの事故が起きた時に対応できる力が求められます。
責任が大きく、常に肩の力が抜けない感じでした。息抜きも大切ですね。
とはいえ、デイサービスの仕事は一人で行っているわけではありません。
職員全員で対応を学んで、実際に訓練(練習)して、常にシミュレーションすることが大切です。
大変なこと②業務量が多い
デイサービスの生活相談員の仕事は業務量が多く、残業が多い傾向にあります。
お客様がいらっしゃる時間は、現場の対応や記録、家族やケアマネジャーとの連絡調整などに追われます。
お客様が帰られてからも、記録の続きや計画書の作成、新規のお客様受け入れの準備などやることはたくさんです。
日によっては事務仕事をメインに行うこともありますが、担当者会議に出席するためにお客様の家を訪問したり、ボランティアの調整をしたり、本当に業務の幅が広く多いです。
時期によっては利用料の請求業務や会議なども重なり、残業が多くなることもしばしば。
お金より自分の時間が欲しい…と思うこともありました。
栄養ドリンクを飲んでしのぐことも…
大変なこと③職員のマネジメントが大変
生活相談員はお客様の調整だけでなく、職員間の調整も行います。
多職種連携の調整役として動く中では、職員の特性を見極めて指示をしたり、配置を考えたりしなければなりません。
例えばシフトを組むにあたって、経験年数の浅い職員ばかりに偏ってはリスクが高まりますよね。
お客様が安心して過ごすことができるよう、バランスを調整しなければなりません。
そのほかにも、お風呂介助が初めてのA職員に対して、どの職員に教育役でついてもらうのか、など細かな調整が必要な場面は多々あります。
そうした調整をするのは結構大変なことでした。
特に若い人は、年上の職員方の調整をしなければならず、大変です。
しかし、これは裏を返せばマネジメント能力が身につくという「やりがい」にもつながります。
日々の大変さが経験として積みあがっていくのですね!
大変なこと④休みがとりづらい
デイサービスは運営基準上、サービス提供時間中に必ず生活相談員を配置しなければなりません。
自分が休んだら他のだれかが出勤しなければならないという状況なので、有給は取りづらい感覚がありました。
特に3日以上の連休は気が引けて、希望を出したことはありませんでした。
生活相談員の一人が風邪などでやむを得ず休み、人員配置の基準をクリアできなくなる時には、その職員の代わりに急遽出勤、なんてこともあります。
業務の効率化を図って、みんなが休みを取りやすい環境にしていけると良いですね。
大変なこと⑤お客様への対応が難しい
私の働いていたデイサービスのお客様の登録人数は約100名でした。
100人いたら100人の暮らしがあり、生活歴があり、当然ながら一人ひとり価値観だって違います。
1日に約40名の方が利用されるデイサービスで、それぞれのお客様に合わせた対応が求められます。
それがとても難しい。
例えば入浴のお誘いのお声かけ一つとっても、全員が同じでいいわけではありません。
その方に合った対応を多職種で考えるのです。
特に、認知症のある方への対応は正解がなく難しい。
今日うまくいった方法が明日うまくいくとも限らない。試行錯誤の毎日です。
だからこそ考えがいがあるとも言えますね!
デイサービスの生活相談員 まとめ
大変なことはやりがいの裏返し!
デイサービスの生活相談員として働いてみて、たくさんのことを学ぶことができました。
現在、地域包括支援センターの社会福祉士として働く中で、デイサービスでの経験がとても役に立っていると実感しています。
高齢者の地域での暮らしがどのように成り立っているのか、デイサービスを通してその現場を経験できたからです。
現場を知らない中でいきなり相談職についていたら、高齢者の地域での暮らしについてイメージが湧かずに苦労したと思います。
ただし体力は結構必要です。私は鍛えられました…!
デイサービスの生活相談員として働いてみたいけれど迷っている…
という方がいらっしゃいましたらぜひお気軽にコメントやご質問をください。
分かる範囲でお答えさせていただきます。
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